キャパンのネゴト

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最終予選のサウジアラビア戦で遂に明白となった「世代交代」とそのコワさについて 2

 

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 のつづき

 

とりあえず、試合内容云々はいい。ワールドカップ出場の決定で仕方ない心理状況なのか、湿気と気温で仕方のない肉体状況なのか、それは本人たちにしかわからないけれど、観てる側には「もういいよね、終わらせよ。早く涼しい日本に帰って休みたい」とばかり伝わってきた。

だから内容は脇に置いて、世代交代のコワさを敗因の一つとして書きたい。

 

日程・結果 | アジア最終予選(Road to Russia)|サムライブルー|JFA|日本サッカー協会

👆最終予選の初戦・UAE戦の記録

この最終予選が始まった時はまだ、本田・岡崎・香川・長友・長谷部を中心とするブラジルワールドカップからの古参メンバーが中心。メディアの取材でも、「若手の台頭が必要」、「競争歓迎」など、その気があるのかないのか、若干のお高く留まった感じの発言がノーマルであった。その頃は確かに、ベテラン頼みであり、試合に負けたらその時に出ていた新人がふがいなかったから、ということになっていた。要はチームの形として、完成した先輩たちのチームに、お試しで新人くんたちが順繰りに出て、彼らと同じレベルでできる選手を探していたイメージ。

 

日程・結果 | アジア最終予選(Road to Russia)|サムライブルー|JFA|日本サッカー協会

👆最終予選の最終試合・サウジアラビア戦の記録

それがどうか、あれよあれよという間に、大迫が、原口が、久保が、昌子が、そして前節では浅野が、井手口が、活躍しポジションを固定してしまった。(ここまで世代交代を進めたのはハリルの功績)そんな激動の最終予選を締めくくるこの一戦、チームの構図は完全に逆転。初々しく可能性に満ちたチームに、頼れるキャプテン長谷部の同世代のお兄さんたちが顔出しに来たみたいな雰囲気になっていた。その「先輩風吹かす」みたいな、もっと貶めた言い方すれば「老害」のような、そんな奇妙な違和感があった。

 

 

本田や岡崎の起用が悪いわけではない。完全アウェーで「中東の笛」も想定され、出場権をかけて死に物狂いで挑んでくるであろうサウジアラビアという強敵に対して、ベテランを入れておく、ましてや長谷部がいない中でキャプテンの座を本田に任せるのは、ここまでの流れからしてムリはない。

 

また、本田や岡崎のプレーが悪いわけでもない。たしかに、ハリルのサッカーの体現者としては前節の浅野や大迫に劣る場面はあれど、相手を揺さぶるためのパスやタメの技術はあった。きっと、インサイドハーフに香川か清武がいればまた結果は違っただろう。

 

要するに、世代交代のコワさである。もう、彼らベテランのチームではないのだ。これからは、彼らが合わせなくてはいけなくなった。そこを上の年代も下の年代も認めないと、そして指揮官は割り切らないと、「遠慮」という内部崩壊が生まれる。

ワールドカップでは、思い切ってベテランを外すか(もちろん全員ではない)、関係を変化させて連携させるか(難易度が高い)か、どちらかはっきりしないと同じ轍を踏んでモヤッとしたまま終わってしまうだろう。9ヶ月後のメンバーに期待です。

 

 

「世代交代」はサッカーに限らないし、そのコワさは共通だろう。若い世代にとっては産みの苦しみがある。先人たちが作ってきた慣習、手法、そして結果という重圧、そして尊重。ベテランがフォローしてくれるうちに、自分たちのスタイルを作らなければいけない。その間は前の世代と常に比較され、陰口を叩かれる。「昔(前)はよかった」は永遠だ。

うまくいけば、次に苦しむのは前の世代だ。自らが作ってきたものとは違うものを認めなければならない。そして場合によっては、築き上げてきたものが壊される瞬間を、あるいは培ってきた信頼を超えられる瞬間を、見なければならない。

同時に、次の世代はブレずに磨き上げなければいけない。先人たちが帰ってきたら堂々とそれに合わせてもらう。

 

対する相手ではなく、自らの組織に対して勝つことの重要性と難しさの一端を、「世代交代」がみせてくれた気がする。