キャパンのネゴト

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戦国時代から学ぶためのオススメ本メモ(後編)

さいきん読んだ、戦国時代の本メモの記事。後編。

 

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読んだ本の著者数が多ければ多いほど、主人公の数が多ければ多いほど、多角的にその歴史を知ることができると信じている。その意味で、大河ドラマ『おんな城主直虎』や2013年の『八重の桜』は、歴史の語り種である主流の人物からは離れた目線であるためにひどく退屈で非常に興味深い。例えばそういうこと。

いくら歴史本で処世術を学ぶと言っても、力ある城主になれるのは、要は財力のある経営者になれるのは、いまも昔も等しく一握りだ。市井の人々の暮らしを知ること、付言するなら踏みつぶされる側のことを知ることは、より重要かもしれない。

今回の『村上海賊の娘』や『へうげもの』も、そんな、どちらかと言えば歴史の傍流にいるひとたちの話しだ。

 

村上海賊の娘(一) (新潮文庫)

村上海賊の娘(一) (新潮文庫)

 

 全4巻

まだ1巻目しか読んでいない。織田信長が11年?近く大阪本願寺と戦をした内の後半戦、水軍同士の戦いの場面。本願寺村上水軍・毛利と組むため、前出の『毛利元就』の2人の息子(吉川元春、小早川隆影)も出てきて、続編のようでその活躍ぶりに感慨深さを感じる。若干、出典もとの記述が多く、読んでいてもどかしさはあるが、覇王信長の軍に戦いを挑むのは痛快である。

とても読みやすいが、ちょっと前提知識要。

 

 

 

へうげもの(1) (モーニングコミックス)

へうげもの(1) (モーニングコミックス)

 

いまは24巻まで出ている。19巻まで読んだ。

古田織部という千利休の弟子の半生を通して、茶の世界から観た戦国時代を描くユニークナンバーワンの漫画。

ユーモアに富む絵を始めとする表現にとにかく笑える。

そして細かい人物関係や伏線でとにかく勉強になる。

千利休が発明した茶室という名の宇宙空間の画期性は大勢が知るところだが、それが天下人にどのように影響を与え、その力を高めていったのか、またその茶の作法がどんな発展を遂げたのかがよくわかる。

登場人物も多いため、別の小説の後に再度読むことによって一つ一つの表現の意味がわかったり、流れの再確認ができる。漫画だから気軽に読めるところも良い。

歴史関係なく、漫画好きにも薦めたい一冊。

 

 

 

歴史人6月号

歴史人6月号

 

月刊号。そして戦国時代率高め。

歴史雑誌。情報量が異常な多さ。この猛将ランキングもそうだが、読み終わるのに時間がかかるし、一度読んだだけではいまいち理解できない難しさもある。 今月号は関ヶ原らしい。

より深めたいひとに重宝。難しいけど。

 

 

 

覇王の家〈上〉 (新潮文庫)

覇王の家〈上〉 (新潮文庫)

 

全二巻(上下)

いま読んでいる本。徳川家康の物語。幼少時代の人質生活と信長の同盟者としていいように遣われる積年の経験、そこで作り上げられた律儀で慎重でたまに暴走気味のお人物像。家康は本人潭、上司潭(信長・秀吉・光秀の目線)、後輩潭(井伊家の目線)でそれぞれ描かれ方が全然違うからおもしろい。リアリストなんだと思う。

ちょっと地味かもしれないけど、江戸幕府が200年続いたメソッドもわかる。 

 

 

 

こういう本は、読み終わってからでもなかなか鮮明に覚えているものだ。それはやはり激烈な生き方をした人間に触れているからだろう。

教科書に一行二行載るだけの、ただの知識では終わらない。本能寺の変はポッと出の謀反ではないし、下克上や調略が常套手段の世界で3万の大軍を動かすのは異常な能力が必要とされる。

歴史本にはかつて強烈な印象を残したその人の、悩み葛藤喜怒哀楽があって、そこにいま生きるわたしたちへの示唆が含まれている。

 

一行で終わる知識には、夥しい数の死と物語が隠されているのだ。

それをじっくりと味わってかつ糧にするのが、いい。