苦手な『清洲会議』の攻略法
戦国時代本シリーズ
三谷幸喜が本を書き、脚本を書き、映画を作ったやつ、らしい。
さすが!!な点は、想像に容易い人物描写とユーモア溢れまくる表現だった。
信長亡き後の織田軍団の棟梁決め、柴田勝家、丹羽長秀、羽柴秀吉、滝川一益、黒田勘兵衛、池田恒興、織田長益、前田利家がどんな人物であったのか、この薄い本の中で、清洲会議というたった数日間の出来事の中で描ききるのは、どれほど難しい事なんだろう。
でも一番のさすが!は、舞台を清洲会議に設定した事だろう。
武力による衝突ではない、知力による頭脳戦でもない、
戦国時代とは思えない狭い距離感での、根回しによる感情を操る戦い。
本当、物事にはいろいろな切り口がある。
印象的なのは、秀吉の「勝敗は会議の前に既についている」。
会議をどの方向へ決着させるか、そのためにどんな流れにするのか。
そしてそれにはどんな準備、根回しをすればよいのか。
これはおれはとても苦手なんだけれど、
それは、知力も感情を読む力も行動力も必要とされるこの仕事が、
とても面倒くさいからだ。
「そんなんしなくても打っ付け本番でー!」
「そのときになればなんとかなるっしょ」
「頭いいからそのときの機転でどうにかするよ♪」
こういう、ただの怠惰をいい方向に繕った言葉に、すぐ負ける。
けれど、この武力でも知力でもない清洲会議を征した秀吉がその後に統一を果たすように、
面倒くさい下地の仕事をせっせとできる、怠惰に負けない夢への正直さを持った人がだけが本番では勝利を収める。
そんなことを考えさせられる本でした。
映画も観てみたい。