妄想する力を上げたい人へ『地獄で何が悪い』
映画を観て感想を言い合ったりするのはすばらしいけれど、
それは美術館の絵画を観て感想を言い合うのと等しく、
互いにその感想を理解するのは実はかなり難しい行為だ。
どうしてもありきたりな表現に終始する。
その映画への期待、監督や俳優への愛、背景を彩る知識、解釈できる脳、経験、好み、感情!
これらが前提として揃わないとまともに話しができたものではない。
結局、ひとりよがりの見方の共有に過ぎなくなる。
だから、ここで思ったことをぶちまけるのは、かなり利口な行為だと思う。
口で言っても半分も伝わらないだろうからね。
2日連続で映画を観れるのは贅沢なことだと思うし、
それをアウトプットできるのはさらに幸運なことだろう。
今回は『地獄でなぜ悪い』。
監督や俳優はあまり気にしたことがないが(キリないから)、園子温監督の作品は好きだ。
たまたま観た『冷たい熱帯魚』でクセになり、『希望の国』、『ヒミズ』、『ラブ&ピース』、『みんな!エスパーだよ!』、『恋の罪』と鑑賞。
『ラブ&ピース』などは付いていけなくて途中で観るのを止めたが、総じて、自分の想像の範囲を越えた物語を、なぜかスンナリ落とし込んで見物させてくれる。
そう、見物。
まるで自分より遥かに妄想力に優れた人の脳みその中を見物するような。
この映画はその中でも、
見物できるように脳みその中を映像にして具象化したストレート感がすごくて、
しかも「え、それが映画でしょ」という範囲を越えているレベルなもんで、
うまく言葉が見つからない自分の妄想する力のなさに愕然としながら、
なんとか、圧倒されポカんと過ぎる至福の2時間の感動を伝えたいわけです。
ここまで妄想していいんだ。
ここまで具象化していいんだ。
相変わらず思考のリミッターを外してくれる作品でした。
二階堂ふみ、美しい。